風月の芸術祭in白河 書/千葉 清藍

風月の芸術祭in白河 書/千葉 清藍

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福島ビエンナーレ2020
「風月の芸術祭」〜祈〜開催にあたって

藝術監督(アート・ディレクター)
渡邊 晃一

本企画は、白河市の歴史、文化を基盤に新たに展開する現代アートの芸術祭です。

「風月」というタイトルは江戸時代の白河藩主、松平定信公の雅号に由来します。
自然を愛で、文化を享受する心を伝えた松平定信の「士民共楽」の精神を受け継ぎ、白河市に関連する城下町の歴史・文化を学びながら、新たに国際的なアーティストと地域住民との協働によって展開します。
白河市のパブリック・リレーションズ(Public Relations; PR)とともに、地域の時代を担う子どもたちにアートと継続的に関わる未来を提供します。

なお、新型コロナウイルスの社会情勢を受け、白河市と福島大学の企画メンバー間では、これまで感染症の対策案も含め、ポスト・コロナ後の芸術祭のあり方について、悩みながらも多くの意見を出し合ってきました。
今年度の芸術祭は、インターネットを介して世界中の人々が身心の健康と活力を得られるような「祈」をキーワードに、白河の歴史、文化に根付いてきた「狛犬・神獣」や「白河だるま」、神社仏閣や教会などの歴史的な史料と重ねて展開することとなりました。
また、公共の場での3蜜(密閉空間、 密集場所、 密接場面)を避けて、地域の人々も享受できる企画を練っています。

1.「風月」というタイトル

江戸時代の陸奥国白河藩主、松平定信公の雅号「風月」に由来します。

「風月」は訳すると、清風と明月。秋の自然、風物に親しむことや、風流に親しんで詩歌を創作すること(才能)。
英訳すると「beautiesof nature」。風月を友とする「converse with nature」等の意味があります。
「風月」は、自然を愛で、文化を享受する心が伝えるものといえます。

松平定信は、歴史に関する書物の編纂や教育、藝術活動に多大なる影響を与えた人物として知られています。蘭書の翻訳事業を行い、教育政策にも力を入れました。定信公は自らも書画を嗜み、谷文晁らと編纂した『集古十種』は、古画古物の模写約2000点が記録されています。

白河藩主時代に定信公はまた「士民共楽」の理念のもと南湖(1801年)を築造し、庶民に開放しました。現在南湖公園として親しまれる同所には、茶室「松風亭蘿月庵」や定信を敬慕した渋沢栄一が設立に尽力した南湖神社もあり、国の史跡および名勝に指定されています。

2.「福島ビエンナーレ」とは

2004年から福島大学芸術による地域創造研究所が中心となり、福島県内の地域住民の方々と「ビエンナーレ(隔年)」で開催されてきた現代アートの芸術企画です。
これまで県北(福島県文化センター、福島市、二本松市)、県中(福島空港、須賀川市)、会津(湯川村、喜多方市)、相双(南相馬市)で行われてきました。
今年度(2020年)はこれまでの「福島ビエンナーレ」を継承しつつ、あらたに白河市で産官民学の協働によって展開します。

今年は、新型コロナウィルスの感染拡大を危惧する影響から、これまでのテーマ、作品の展示方法も一新しました。
インターネットを介して世界中の人々が幅広く「藝術」に触れ合えると同時に、白河市ひいては福島県の歴史と伝統を通して、未来を担う子どもたちと地域創造を一層活性化させていく一役を担い、芳醇な地域文化を実らせていきます。

3.「祈り」をテーマとした白河の歴史と文化

白河市には、自然と歴史、文化、芸術との関わりを伝える重要な資源が多数あります。
東に阿武隈山地、西に那須連峰の雄大な景色を一望できる地に位置する白河は、東北地方をまとめて「白河以北」と称した歴史がありました。

東北の縄文時代からの歴史遺産が多数残されており、福島県文化財センター白河館(まほろん)には、福島県内の遺跡から見つかった文化財が多数収蔵・展示されています。

白河の関は平城京の頃より、都から陸奥国(東北)に通じる関門として史上名高い場所でした。
奥州合戦の際、源頼朝が白河に達した時「秋風に草木の露をば払わせて、君が越ゆれば関守も無し」と頼朝をたたえて詠まれました。
松尾芭蕉もまた「白河の関にかかりて旅ごころ定まりぬ」と、みちのく路の第一歩を踏み出し、陸奥(みちのく)を越える旅に思いを馳せました。
陸奥国白河は江戸時代、奥州街道の要地であり、戊辰戦争において白河の攻略は、奥羽越列藩同盟軍(会津・仙台・庄内藩を中心とした東軍)と新政府軍(薩摩・長州藩を中心とした西軍)の戦局を大きく左右しました。
「白河口の戦い」(1868年)における両軍の犠牲者の墓や慰霊碑を、今も地元の住民は弔い続けています。

本企画のタイトルとなった「風月」を雅号とする松平定信公が城下の繁栄を願い、職人に技術を習得させ、お抱え絵師の谷文晁が図柄を考案したとされる「白河だるま」は縁起物として引き継がれています。

司馬遼太郎の『街道をゆく』のなかに野バラの教会として紹介されている白河ハリストス正教会には、50点のイコンがあり、その中には、ロシアからもたらされた作品や、日本最初のイコン画家である、女流画家山下りんの作品が残されています。
また大正期、白河に生まれた画家、関根正二など、多数の芸術文化の歴史を有しています。
関根正二の代表作に《神の祈り》(1918年頃 福島県立美術館蔵)、《信仰の悲しみ》(1918年 重要文化財大原美術館蔵)があります。

江戸末期から、明治、昭和初期にかけて小松利平、寅吉らの系譜によって制作された独創的な狛犬が多数残されています。

白河市には地域の気候・風土や城下町の歴史を活かした様々な伝統工芸・文化があり、今なお脈々と受け継がれています
。東日本大震災や新型コロナウィルスの影響で、東北の地は一層「祈り」を通して地域文化を守っていくことが必要とされています。
縄文の文化財、谷文晁と「白河だるま」、山下りんのイコン、関根正二の作品につらなる白河のテーマは、まさしく「祈り」ともいえるでしょう。
松平定信公の活躍していた江戸時代から継承される城下町文化が引き継がれています。

本企画は、国際的なアーティストの活動と白河の伝統的な地域文化を結びつけ、世界に向けて「祈り」を発信していきます。

4.オープニングセレモニー 芸術監督 渡邊晃一 挨拶

FUKUSHIMA BIENNALE2020

〔 主催 〕
風月の芸術祭実行委員会

〔 共催 〕
白河市/白河市教育委員会/国立大学法人 福島大学 芸術による地域創造研究所

〔 後援 〕
福島県/ 福島県教育委員会/ 福島民報社/ 福島民友新聞社/ 朝日新聞福島総局/ 毎日新聞福島支局/ 読売新聞東京本社福島支局/ 福島リビング新聞社/ 福島テレビ/ 福島中央テレビ/ 福島放送/ テレビユー福島/ ラジオ福島/ ふくしまFM

〔 協賛 〕 龍興寺/株式会社 三谷精密/ 公益財団法人 藤田教育振興会/ 有限会社 大洋社/ 株式会社 ホンダカーズ東白川/ 株式会社 城南

〔 助成 〕
令和2年度福島県地域創生総合支援事業(サポート事業)

〔 お問い合わせ 〕
風月の芸術祭実行委員会 sirakawa2020art * gmail.com

※「*」を「@」に置き換えて送信ください。

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